この『機械じかけの小児病棟』はホラーミステリーである。
徐々に明らかになる真実をさぐる過程が面白いのに、何故か『機械じかけの小児病棟』のオフィシャルサイトでは、ラストまでのすべてのシーンのストーリーがネタバレされている。
これを読んでから観た人と、読まないで観た人では、評価が大幅に変わってくるであろう。
この映画を最大限楽しむなら絶対にオフシャルサイトのストーリーを読まないこと!!
ミステリー性の高い映画で、堂々とネタバレすると言うのも大きな疑問である。
私は幸い観る前にそれを読みことがなかったので、映画の中のヒロインとともに徐々に解明される謎、そして驚愕の事実をゾクゾクしながら鑑賞することが出来た。
原題は『Fragile』=『こわれやすい』と言う意味であり、この病院はタイトルにある『機械仕掛け』など全く無用の古城と見間違うようなクラシカルな建物である。
イギリスに住んでいたとき、『この国では絶対に病気にはなりたくない』といつも思ったいた。
なぜならば、病院の大部分が新しくても19世紀の建物であり、外から見た限りでは近代文明を寄せ付けないような雰囲気を持っているのも事実である。
ホテルライフを楽しむ為ならクラシカルな建物は大歓迎だが、病気を治すとなるとやはり近代的な設備のほうが安心できる。
イギリスの病院=直る病気も治らないと言うイメージがわたしの中で定着してしまったほどである。(笑)
しかし、幽霊の舞台にはこれほど相応しい場所は無いだろう。
アメリカ製のホラーがドライなイメージであるのに対して、この作品は非常にウエットである。
それはこうした歴史ある古い建物が舞台であるからと言うことと、幽霊の登場の仕方が日本のホラーと非常に近いものがある。
暗闇の中に佇むシルエット、足、そういった部分的で不完全な登場の後に、ラストで全容をあらわにする。外国製のホラーで久しぶりにゾ〜と寒気がするような作品に出会ったと感じた。
そして何よりも映像が美しい。
ヨーロッパの歴史の中に育まれた重厚さ、押さえた色調。
必要以上な流血シーン、グロテスク表現は皆無であり、正統派幽霊映画である。
この作品の監督は、99年『ネイムレス/無名恐怖』、02年『ダークネス』などで世界的に評価されているスペインホラーの巨匠『ジャウマ・バラゲロ』であるが、上記の2作品よりもより怖さと言う点では秀でている。
なんとなく思ったのだが、もしや日本のホラー作品に強く影響を受けているのではないか?と。
『呪怨』の清水監督と言うよりも『リング』の中田監督に近い映像感覚である。
これは今まで欧米の映画作品には無かった感覚で、『しっとり』とした怖さなのである。
やはり夏には、煮えたぎる血がどくどくと流れるようなホラーよりも、思わず背筋が寒くなるこんな作品はおすすめである。
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