この作品は、ジェーン・オースチンの名作小説『高慢と偏見』を 映画化したものである。
『高慢と偏見』と言うと、BBC放送版のダーシー役をコリン・ファースが演じ、好評を博したようだが、残念ながらこのTV版は未鑑賞である。
『高慢と偏見』の現代版は、あのヒット作『ブリジット・ジョーンズの日記』であり、ここでもダーシー役はコリン・ファースが演じていた。
そしてこの映画版の舞台は、原作と同様19世紀イギリス。
田舎町に暮らすベネット家の子供はいずれも女性ばかりであり、 この時代女性には相続権がなく、父親が死んだら家も財産も遠縁の男子が継ぎ、娘達は路頭に迷ってしまうのだ。
なんて言う無慈悲な法律なんだろう。
男尊女卑著しいこの法律、彼女達に残された道はいい結婚相手を見つけること。
彼女らは『男が集める場所』にはせっせと惜しみなく足を運ぶ。
町に軍隊がやって来ると聞けば町に出向き、軍隊の行進中に兵隊の気を引くためにハンカチを落としたり、舞踏会でももちろんいい男を躍起になって捜しまわる。
これは現代の日本女性が、男を探してクラブや街中を彷徨うのとは訳が違う。
彼女達の運命は、『結婚相手を見つけることが出来るのか否や』にすべてかかっているのである。
そんな中、キーラ・ナイトレイ演じるエリザベスが、身分が高いが、高慢で理屈屋のダーシー(マシュー・マクファディン)と知り合うが、そんな彼の態度に偏見を持つ。
そしてやがて、彼の内面を少しずつ知るにつれ、彼女の心も彼に傾いていくが、プライドと偏見が邪魔をして素直になれない。
現代物の恋愛映画と違って、恋の成就までのプロセスが複雑な感情が入り乱れ、時代背景と相まって重圧感があり、実に見ごたえのある作品であった。
財力も地位もあるが、恋には不器用と言うダーシーは実に魅力的であり、ぜひBBC放送版の『傲慢と偏見』も見比べてみたい。
現代恋愛映画を見慣れた今、19世紀の奥ゆかしいロマンチズム溢れるこんなラブ・ストーリーは実に新鮮であり、久しぶりに胸が締め付けられるような美しい映画を観た思いであった。
エリザベス演じるキーラ・ナイトレイはこの作品で、アカデミー主演女優賞にノミネートされたが、なるほど迫真迫る演技であり、ノミネートも納得であった。
ただ彼女の外見は現代的であり、この舞台である19世紀の女性にしてはあまりにもスリムすぎて、少々魅力には欠けるような気がする。
しかし、彼女の素晴らしい演技が、その外見的なマイナス面を十分に埋めていたように思われる。(しかし、黙っていると彼女は美しいのだが、笑うと何故か般若顔になるのが最後まで気になってしまった。w 笑うと受け口になってしまうからなのか?)
そして、このベネット家の父親を演じているドナルド・サザーランドが実にいい味を出していた。
ラストでのエリザベスとの語らいの場面では、娘を思うやさしい父親の感情を静かに表現し、実に巧みな役者である。
そして最後に、忘れてはならないのがセットを全く使わず、英国の美しい風景を映像化しているということと、静かに流れる音楽・・・。
近年の19世紀文学を舞台にした映画の中でもこの作品は、秀逸であることは確かである。
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