『ディセント』は、2005年12月英国インディペンデント映画賞で作品賞、監督賞を受賞した洞窟アドベンチャーホラーである。
監督であるニール・マーシャルは、前作ドック・ソルジャーに次ぐ2作目の作品。
非常にテンポが良く、映画の中の彼女らと同様、こちらも始終ドキドキしてしまい、なかなか演出が見事である。
『Descent−ディセント』とは、『降下、(不意の)襲来、急侵入』などと言う意味があるが、この映画の舞台となっている洞窟は、地中深くにあり(降下)、いうなれば登場人物の6人の女性達は『侵入者』であり、先住者は彼らを『襲来』すると言ったところからこのタイトルは来たのだろう。
『ディセント』と同時期に公開された、洞窟を舞台にした新作ホラー映画『地獄の変異』は信じられないぐらい駄作であった。
舞台設定は洞窟調査隊と言う名目なので、本作品の若い女性6人が遊びで洞窟に入り込んでという設定よりは、正統派のように思われたが、いかんせん演出がひどかった。
襲われているらしいということは音声でわかるのだが、いったい何をされているのかわからず、気がつくと殺されているというひどい代物である。
本作品である『ディセント』は英国制ホラーらしく、細部にわたり神経を使い細かく演出されており、手抜かりはない。
SFXなどと言う文明の代物は一切使わず、あくまで正道を行く演出だ。
アメリカ映画のようにきちがいじみた描写もなく、洞窟と言う閉ざされた環境の中で、必死に逃げ惑い出口を目指す彼らと同様、こちらの心拍数も上がっていく。
意表をつく驚かせる箇所が何度もあり、少々椅子からお尻が浮いてしまうことも多々あるだろう。
スプラッター描写も多々あるが、アメリカ映画のように無駄に描写することもなく、観客を震えあがらせるのには十分な演出である。
以下ネタバレを含む。要ドラック。
******************************************
この映画に登場するのは、モンスターと言えども、元は私たちと同様「人間」だったのだろう。
地底に住むうちに、暗闇には不必要な視力は失われ、代わりにこうもりのように超音波で、自由にすばやく行動することが出来る。
あくまで彼女達6人は侵入者であり。彼らの生活を脅かす存在なのである。
そんな邪魔者を排除し、果ては食料にしようとする彼らは決して悪人ではない。
彼女達が遊び心で、彼らの住む洞窟に迷い込まなければ、平穏な生活を送っていただろうに・・。
姿形は恐ろしいが、あちらから見れば侵入者の彼らも同様に映るのではないだろうか?
殺戮し合う彼らを見ていて、なんとなくそんな思いが頭をよぎってしまった。
******************************************
Homeへ(映画コーナーには、日本公開前の作品プレビュー多数あります。) |